最近、読み返した一冊がこれ!!
かたくなまでに意志を貫き通した『老中田沼意次』の人間像にスポットをあてた
長編歴史小説。
日本史を指導させてもらってるモノとして、改めて、大いに勉強させてもらった!!
田沼・・・・・誰もが“ワイロ政治の親玉”のようにイメージするだろう・・・・・
ところが、この『栄花物語』(昭和48年発刊)は、当時としては、画期的と言える、
田沼を幕府政治の在り方にとらわれない自由な発想で政治を行った、革新的な政治家とし
て、描いてる。
ここ最近・・・様々な研究の成果から、田沼に対する歴史学者の評価が激変してる。
歴史バラエティ番組でも、何度か取り上げられてる・・・・
とは言え・・・・ここ2、3年の話だ。
著者山本周五郎は、既に、昭和48年の時点で、田沼を”非常に頭のキレる革新的政治家”と
して描いた・・・・
山本周五郎氏の”着眼点”に、そもそも感動する・・・・・
田沼が、ワイロ政治の親玉のように、解せられてきたのは、
時代背景そのものにある。
当時としては、画期的、かつ大胆過ぎるすほどの財政政策を断行。
幕府の利益を追求するあまり、大名をはじめ、庶民まで敵に回した結果、
田沼の知らないところで”田沼の偽りの人間像”が作り上げられていった・・・・
田沼の先進的な改革に、
保守的な幕臣たちは、理解を示すはずがない。
火のないところに煙は立たないというが、
煙を立ててたのも、また、幕臣たちの仕業との史料もドンドン出てきてる。
田沼時代は、経済の活性化だけでなく、
文学や美術、国学、洋学が一斉に華やいだ時代でもある。
田沼の功績は、計り知れない。
田沼にとって、最大の不幸は・・・・・
アイスランドのラキ火山噴火
と
浅間山の噴火 だ・・・・・
天才的政治家といえども、大自然の猛威の前では、なすすべもなかったということだ。
大改訂された、高校の歴史の教科書では、
田沼の政策を現実的で合理的な、当時としては、きわめて革新的なモノであり、
近代国家につながる経済政策と表記している・・・・・・・
もう・・・・田沼をワイロ政治の親玉と揶揄するヒトはいなくなるだろう・・・・
本日も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。