2006年東大日本史 第四問。
官鉄、民鉄の営業距離数と官鉄建設費のグラフを示したうえで
戦前の日本において、鉄道はいかに発達を遂げてきたか?
その政治的、経済的背景を問う問題でした。
昨日の通信の冒頭で紹介させてもらいました、秘境駅。
盛岡~釜石間を走るJR東日本山田線にある大志田駅。
なんで、こんなところに駅が?
戦後の高度成長期。
まだ、モータリゼーションの波が押し寄せる前です!!
鉄道は、唯一の輸送手段、交通手段でした。
『おらが村の駅』は『東京の駅』につづく玄関口だったんです。
鉄道とは、近代化の象徴でした!!
人々は、鉄道に【近代】というあたらしい時代を実感してたんです!!
【山川出版日本史Bより】
教科書にかかれてある通り・・・・・
時の首相【原敬】は、米騒動による寺内正毅内閣の退陣を受けて成立しました。
【米騒動】・・・・沈静化させるために軍隊まで出動させました・・・・
国家権力にも屈しない民衆のパワーを目の当たりにした、当時の元老山縣有朋は、
軍閥・官僚閥による組閣をあきらめました。
国民的人気のあった立憲政友会総裁の原敬を首班に推挙するしかなかったんです!!
日本初の本格的政党内閣である原敬は、国民的支持をバックボーンとし、
教育の改善、交通通信機関の整備拡充、国防充実、産業奨励からなる四大政綱を掲げ、
積極政策を強力に推進させました!!
『交通通信機関の整備・拡充』の方針に沿った地方路線の拡充については、やがて、異
なる意味合いを持つようになります!!
それは・・・・戦後政治にも脈々と受け継がれる・・・・・
『利益誘導』の手法だったんです!!
立憲政友会の代議士たちは、国民的英雄でした。
予算をドンドン通します!!
地方路線が加速度的に拡充されていきます!!
それに伴い、ドンドン駅も作られていきます!!
【山川出版日本史Bより】
ピンクマーカーの部分をご覧ください!!
当時の、利益誘導型のこの政治手法は、『我田引鉄』と揶揄されてたと言います。
上の教科書の中に『党員の関係する汚職事件も続発』とありますね?
だいたい、察しはつきますね?
鉄道地方路線拡充に伴う、“賄賂” です!!
『利益誘導的手法』により、作られた【おらが村の駅】
近代化の象徴である、東京へとつづく駅・・・・・・・・・・・・・・・・・
ふるさと岩手南部に、山田線を建設し、大志田駅もつくった原敬・・・・
あれから、100年近く経とうとしてます。
『秘境駅』として鉄道ファンの心をつかんで離さないようになるとは、
原も思ってもみなかったでしょうね(笑)
『秘境駅』・・・・・そのほとんどは、この時代の
利益誘導の『我田引鉄』がもたらしたものだったんですね。
本日も、最後まで、読んでいただき、ありがとうございました。